今月のことば「兵戈無用(ひょうがむよう)」
「ロシア、ウクライナ侵攻」「都市への攻撃続行」「原発へ砲撃」
浄土三部経の一つ『大無量寿経』に兵戈無用という言葉がある。
お釈迦さまが悪を戒め信を勧められるところで語られている。兵は兵士、戈は武器の事で、物事の解決に兵士や武器を用いてはいけないと。
仏教は不殺生、殺すなかれという。
しかし、人が人を傷つけ、武器を持って殺し合うのは絶えることがない。
ウクライナでは空爆、ミサイル攻撃により多くの命が奪われ続けている。
先端技術を駆使した兵戈を用いて殺戮が行われている。
正義を謳って兵戈を用い、殺戮が正当化される。しかしどのような事情があろうと、殺戮を正当化することはできない。
法句経には『この世において、怨みに報いるに怨みをもってすれば、ついに怨みはやむことがない。
怨みを捨ててこそやむ。これは永遠の真理である』とある。
ロシア軍によるウクライナ侵攻に対する本山興正寺の声明を転載する。
私たち真宗興正派は、プーチン大統領によるロシア軍のウクライナ侵攻に対して深く憂慮し、強い懸念を表明します。
いかなる武力行使も、核戦力を利用したあからさまな威嚇行為も断じて容認することはできません。
武力行使の先では、多くの尊い命が奪われ、傷つけられ、住むところを追われ、今まさに日常が破壊されています。
言葉では言い表せないほどの怒りと恐怖、悲しみを抱えた多くの人々に平和が取り戻されることを切に願うとともに、
侵攻の即時停止と、対話と交渉による平和的な解決を強く望みます。
私たちの教団は
「人類の幸せと平和に寄与するように努める」ことを為すべきとし、
「柔らかな心で、お互いが認め合う幸せを伝えましょう」を実践の一つとしています。
いま世界を覆っている「力の均衡(バランス・オブ・パワー)による平和構築を求めるのではなく、
利己的な人類の姿を反省し、互いの相違を認めながら、柔らかい心で対話と交渉を続けていく努力こそが、
人類の幸せと平和に寄与する真実の行為であることを私たちは信じてやみません。
私たち真宗興正派は、人類の対話と共存を求め、平和を願うすべての人びとと共にあることをここに表明します。
真宗派興正派宗務総長 秦直樹
西光寺では門信徒向けの行事案内、仏典物語等を掲載した寺報「慈光」を発行しております。
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